By Terre de lin https://teisen-linen.jp/brand/terre-de-lin/
その1.「麻」について
古来、日本における「麻」とはそもそも大麻、苧麻の繊維を指す言葉でした。世界から類似の繊維が様々導入される過程で、「麻」は植物の靭皮部や葉脈から採取される繊維の総称とされています。
リネン、すなわち「亜麻」はフラックスという植物を原料とする繊維です。
その2.輪作
フラックスを連作すると病害が発生するため、一度栽培したら土をしばらく休ませて回復を待つ必要があります。ジャガイモやトウモロコシ、麦などを植えながら6~7年の周期で輪作を行い、再びフラックスの種をまくタイミングを待ちます。
※写真中央の青紫部分がフラックス畑です。周囲の畑で他の作物を育て、輪作している様子がわかります。
その3.発芽と成長
3月中頃から4月中頃にかけて種まきを行うと、数週間後、小さな双葉が地面から顔を出します。フラックスは生命力に溢れた植物です。高さ4㎝足らずの芽でも、土の中では背丈の10倍、40㎝もの根を伸ばしています。
その4.開花
6月、フラックスは開花期を迎えます、日の出とともに開いた淡い青紫色の可憐な花は、お昼には散ってしまう儚い命です。朝の光を浴びて風にそよぐ満開のフラックスの花畑はこの世のものとも思えない美しさです。
その5.プリング・レッティング
花を落としたフラックスは7月中頃にかけて徐々に黄金色に変化していきます。頃合いが極まれば、いよいよ収穫のスタートです。巨大な農業機械でフラックスを根ごと引き抜き、畑に一列に寝かせていきます。土の上で数週間野ざらしにされるうちに、雨露や土中の微生物の働きにより、フラックスは発酵し、繊維束の形成が進みます。この工程を「レッティング」といいます。
その6.スカッチング
収穫されたフラックスは加工場に運ばれます。巨大なスカッチングマシンの中で、激しく叩きほぐされ、外皮や種など繊維以外の余分なものを除去されます。ここで脱落した成分も、建材や紙など、別の用途に再利用されます。
その7.ハックリング
髪の毛を櫛で梳くように、繊維を櫛削ってほつれをなくし、未熟で不均一な繊維を取り除いて、方向を揃えていくと、フラックスの繊維は次第に美しい輝きを帯びていきます。ハックリングという工程です。
その8.スピニング(紡績)
フラックスの繊維にはペクチンという天然の糊成分が含まれています。ペクチンの固着を緩め、繊維をさらに延伸させるために、紡績には水が使われます。「潤紡績」とよばれる独特な紡績手法です。乾燥してペクチンが固まることで、リネン独特のハリとツヤが生み出されます。